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解説

黄金時代の幕開け -1

2004年6月6日 日曜日

大阪モーツァルトアンサンブル 武本 浩

1783年7月、モーツァルトは妻コンスタンツェを伴って父と姉が住む故郷を訪れ、10月26日、聖ペテロ大聖堂で「ハ短調ミサ」を演奏して翌日ザルツブルクを後にした。途中、リンツに立ち寄り、新しい交響曲を作曲して12月ヴィーンに戻った。年が明け、1784年、モーツァルトはヴィーンで自立し、独自の音楽活動を開始する。『1784年2月より1XXX年X月にいたる私の全作品目録-ヴォルフガンク・アマデ・モーツァルト』と題する自作全品目録は、16.5センチ×21.4センチ、44ページからなる縦長のノートブックで、そこには日付、曲目、編成と主題が数小節記されている。日付は、多くの場合完成された日であるが、作曲を開始した日であることもあった。たとえば、交響曲第39番変ホ長調KV543、行進曲ニ長調KV544、ピアノソナタハ長調KV545、弦楽のためのアダージョとフーガハ短調KV546の4曲は1788年6月26日の日付になっているが、4曲全てがこの日付に完成されたとは考えられていない。さて、1784年2月9日から記録が開始された自作全品目録の記念すべき第一頁は以下のようになっている。ただし、曲名については【 】で補足した。

1784年2月9日
1, クラヴィーア協奏曲【ピアノと管弦楽のための協奏曲第14番変ホ長調KV449】
伴奏、ヴァイオリン2、ビオラ、バス、-(オーボエ2、ホルン2、アド・リビトゥム)

3月15日
2, クラヴィーア協奏曲【ピアノと管弦楽のための協奏曲第15番変ロ長調KV450】
伴奏、ヴァイオリン2、ビオラ2、フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、バス

3月22日
3, クラヴィーア協奏曲【ピアノと管弦楽のための協奏曲第16番二長調KV451】
伴奏、ヴァイオリン2、ビオラ2、フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、クラリーノ2、ティンパニ、バス

3月30日
4, クラヴィーア五重奏曲【ピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調KV452】
伴奏、オーボエ1、クラリネット1、ホルン1、ファゴット1

4月12日
5, クラヴィーア協奏曲【ピアノと管弦楽のための協奏曲第17ト長調KV453】
伴奏、ヴァイオリン2、ビオラ2、フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、バス

 


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